2012年11月08日

とてつもない男

とてつもない男
阿部敏郎さんの著書「いまここ」からの抜粋です


昔むかし、アレキサンダー大王がアジア遠征のためにインドに差しかかったときのこと。

その地方には人々の宝とも言うべき、とてつもない男が住んでいるという噂を聞きつけた。

アレキサンダーはぜひともその男に会いたいと思い、その男が住むという川のほとりにやってきた。

どこにもそれらしき屋敷はない。

どうやら宿無しの変わり者のようだ。

「あの男でございます」

村人が指差した先には、木陰で裸になって横たわっている物乞いのような男の姿があった。


「あれのどこが宝なのだ」


「あのお方の素晴らしさは外側ではわかりません。すべては内なる宝にございます」


アレキサンダーは男のもとに近寄って尋ねた。


「何をしておるのか?」

すると反対に、男が大王に聞いた。

「あなたは何をしておられます?」

「ワシは東に遠征中だ」

「遠征してどうなさいます?」

「世界全体を征服するのだ」

「征服してどうされます?」

「おかしなことを聞くな。全世界がワシのものになったら、そのときはゆっくり休むとするさ」

すると、裸の男はこう言った。


「私はいま、休んでおるのです」

……。



僕たちはどこに向かってるんだろう。

本当はもうとっくにゴールにいるのに。

というより、遠征してるつもりになってるだけで、どこにも行っていないんだ。

『いつも、「いまここ」があるだけだ。』




……………これを読んだとき、「あぁ、今まで興味をもったり、勉強したりしてきたこと、すべては“悟り”をひらくためだった!」

…って思ったんだけど…

「あれ?じゃあ、悟りをひらいたあとはどうすんの?」


「………あっ


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